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独立した際には「フリーランス(個人事業主)と法人」のどちらにするかというのは1つの迷い所です。
その点、私自身はフリーランスも法人もどちらも経験しているので、税金・社会保障・経理・営業面など様々なポイントで比較する事が可能です。本当にどちらもその人の状況に合わせて良し悪しがあります。
ただ、大抵の記事では本当に制度的な部分でしか比較していなくて、メンタル的な部分での良し悪しとか、今後の世の中の動き的な所の話も含めてどちらの方が良さそうみたいな意見はあまり見られません。
そこで、今回はフリーランスと法人の違いやメリット・デメリットについて経験者の視点で解説します。
著者 荒木大地 / グラフィックデザイナー / ▸Twitter (@d_arakii)
博士号を取得後、東京大学にて特任助教として研究と教育に従事。在学時よりデザインの業務を開始しデザイン事務所を設立。Adobe Creative Residency (2021)
Contents
フリーランス(個人事業主)と法人の違い
・フリーランス(個人事業主):特定の団体に所属せず税務署に開業届を出して営業する事業者
・法人:法人格を作り出して営業する団体で株式会社・合同会社など様々な種別が存在する
どちらも1人で運営することができますが、最も大きな違いは「個人・法人」という部分です。法人というのは法律によって作られた完全なる別の人格で、自分が代表者として法人を扱うという事になります。
個人事業主の場合には種類はありませんが、法人を作る場合には特殊な事情を除いて「株式会社と合同会社」の2つがあって「初期費用・会社形態・社会的信用度・決算公表の有無」等の違う部分があります。
株式会社だと正確には代表者というよりは株主が法人を実質的には扱ってますがその辺りは割愛します。
まとめると、フリーランスは個人で運営する事業者であるのに比べて法人は法人格を扱うので、その点で別の法律なり規則が適用されるため、違う部分が生まれて、良い点と悪い点が生じてくるという事です。
法人(合同会社)の設立・起業の仕方については、下記記事で詳しく紹介しているので参考にどうぞ。
関連記事「1人で合同会社を設立・起業した時の全体的な流れと気をつけたいポイント」
フリーランス(個人事業主)のメリットとデメリット
フリーランスのメリット
・届け出が簡単
・確定申告が簡単
・初期費用や会計ソフトの費用が安い
・家賃や光熱費を按分で経費計上可能(自宅事務所の場合)
・本業以外のコミュニケーションや調査コストが低い(法人比較)
フリーランスのメリットとしては、様々な手続き関係が簡単にできるというのが大きなポイントです。
個人事業主としての届け出も電子申請で数分で完了できるし、確定申告もfreeeなどの会計ソフトに領収書の内容を記入していれば、必要な数字を抽出して申告書まで作成してくれるので難しい事はないです。
・会計freee個人版:年額約12,000円
・開業届作成サービス:無料
また、開業にかかる費用は特にありませんし、会計ソフトなどの使用料も個人価格なので安く済みます。
フリーランスの場合、多くの方が自宅を住居&事務所として使用していると思いますので、その場合には事務所として使用している家賃・光熱費・通信料などを按分(%)で経費として計上する事が可能です。
本業以外の部分でのコミュニケーションや調査コストが低いのもフリーランスのメリットになります。
法人の場合、立ち上げ方・法人特有の給与・社会保障の制度・決算についてなど様々に調べないといけない事が多くてそこに多くの時間を使う事になります。税理士や司法書士に任せるにしても、そもそも誰に任せるのか調べたり、概要を知らないと依頼が適切にできなかったり、やり取りで消耗したりもします。
もちろんフリーランスでも税理士の方に確定申告などお願いしている方も多いと思いますが、法人の場合は比較にならない位に税務・経理周りで知っておく必要がある事や連絡を取る必要がある事が多いです。
法人の場合はその辺りの事をわりと常に頭の片隅においていないといけないので慣れるまでメンタル的にしんどいし、コミュニケーションで結構ストレスが溜まる事もあります。その辺りがフリーランスだと結構自分1人で解決できてしまったり、分からなくても調べたり実行するのも簡単なのが良い部分ですね。
まとめると営業していく際の手続きや費用面でのコストが少なくて済むのが大きなメリットになります。
参考サイト「クラウド会計ソフト freee会計」
フリーランスのデメリット
・国民年金・国民健康保険になる
・給与が設定できない(節税不可)
・信頼性が低い(契約関係・仕事関係)
・源泉徴収で取引先に手間をかける
・所得税によって税額が高くなる可能性がある
・無限責任である
フリーランスのデメリットとしては、収益の金額によっては税金の面で不利に働く場合がある事と、契約や仕事の面での信頼性が法人と比べた際に劣る点が挙げられます。高収入だとデメリットが大きいです。
まず、社会保険の面では基本的に「国民年金・国民健康保険」に加入する事になります。法人に適用される厚生年金・健康保険と比べると支給される金額が少なくなったり保険の適用範囲が異なったりします。
社会保険料の支払いの金額については、どちらかと言えば金額面では法人の方が高くなる可能性が高いですが、法人の場合は社会保険料は会社と個人で50%づつ折半をして支払いをすることになっています。
なので、会社員からフリーランスになると社会保険料がめちゃくちゃ高く感じますが、それは会社が負担していた分を自分で支払う事になるためです。1人の場合には法人を作っても会社分も個人分も結局自分で支払う事になる(支出場所は異なりますが)ので、金額の面ではそこまで優劣はつかないと思います。
税金的な面ではフリーランスの場合は給与というものが無いので、その点で節税ができないという事が挙げられます。法人の場合は1人でも自分に役員報酬を設定して毎月決まった金額を自分に振り込みますが、役員報酬の金額分は経費になるので節税効果が高く、その効果を受けられないのはデメリットです。
・所得税(上限45%)+住民税(10%):上限55%
・法人税(上限約23%)+法人住民税:上限約34%
また、所得税と法人税は上限が違うので、収入が多い場合には納める税金の金額が大幅に変わってきます。フリーランスの場合は全て所得税として換算されるため、収益が増えると納税額が高くなりますが、法人の場合も役員報酬を払い過ぎると所得税がかかるのでその辺りの調整が難しいという事はあります。
法人の場合は法人に収益が入った段階で法人税がかかって、そこから個人(自分)に役員報酬を振り込む際に源泉徴収(所得税分を天引き)をして支払うので、役員報酬が多いと節税効果が薄いという事です。
とにかくフリーランスの場合はそういった調整は不可なので、収入が多いと税率が高いという話ですね。
仕事や契約回りの話では、法人に比べて信頼性が低いというデメリットが挙げられます。手続きが簡単ですぐに開業できる上に会社法など法律による縛りが無い為、企業側から見ると取引にリスクが生じます。
また、事業内容によっては企業側が報酬の支払い時に源泉徴収をする義務が発生するのも少し面倒です。法人側がどういう風にフリーランスの源泉徴収を支払うかの方法は下記記事中で詳しく解説しています。
関連記事「法人がフリーランス外注用の源泉徴収を支払う為の電子申告「e-Tax」の登録の仕方と方法」
という事から、クレジットカード作成・住居の契約等のサービスも通過しにくいですし、大きな企業との取引をする際にフリーランスを理由に敬遠される可能性があったりというデメリットの部分があります。
仕事の取引面で「無限責任」というのも大きなデメリットの1つで、例えば何か仕事上の過失があって賠償金の支払いが生じたような場合、賠償金がいくらであっても個人資産から全て支払う必要があります。
これが法人の場合「有限責任」という形になっていて、法人として借金を負ったり賠償金の支払いが必要な場合にも、法人での支払い義務となっていて、個人資産の方には被害が及ばないという事になります。
法人のメリットとデメリット
法人のメリット
・厚生年金になる
・給与の支払いによって節税が可能
・法人税によって税額が安くなる可能性がある
・設立後に消費税の免税を受ける事ができる
・社宅として契約すると居住費を経費計上可能
・信頼性が高い(契約関係・仕事関係)
・有限責任である
・融資を受けやすい
フリーランスのデメリットの真逆みたいな所がありますが、主なメリットは税制面での優遇につきます。
1人で法人を設立する様なケースではほぼ全員が税制面での優遇を受ける為に法人を作っていると思います。ちなみに法人化を検討する際の基準は売上げ1,000万円程度が1つの目安となると言われています。
これは、売上げが1,000万円を超えると2年後から消費税の課税業者となり消費税を納入する必要があり、法人を設立することで新たに2年間は消費税の納税義務が免除されるのが1つの要因となってます。
・インボイス制度:消費税の課税事業者しか適格請求書を発行できない制度
ただし、今後は「インボイス制度」により消費税の免税に関する法人化のメリットはむしろデメリットになる場合があります。簡単に言うと免税事業者は仕事相手にされなくなる可能性があるという事です。
現在は免税事業者でも請求時には消費税も含めて請求していて、その取引相手が課税業者の場合には支払った消費税分は自分たちの支払うべき消費税分から差し引いて(控除)国に消費税を支払っています。
これがインボイス制度が有効になると、免税事業者に請求された消費税分を課税業者は自分たちの支払うべき消費税分から差し引けなくなり損をするため、免税事業者とは取引しなくなる事が考えられます。
そういったリスクがあるため、あえて免税事業者となるメリットは現在より薄くなる可能性が高いです。ただし、免税事業者や消費者が主な取引相手の場合は適格請求書が必要ない為、メリットがあります。
また、デメリットの部分で詳しくお話をしますが、法人の場合様々な運営コストがあり、そのコストを支払ったとしても税制の優遇の方が勝るのが売上げ1,000万円程度というのがもう1つの要因になります。
給与(役員報酬)が経費で計上できるので節税になったり、社宅として契約すれば居住費も経費として計上できたり、そもそも法人税の上限が低いので納税金額を抑えられたりという部分で優遇されています。
また、フリーランスより信頼性が高いので、企業間での契約等も結びやすく仕事の幅が広がる可能性もあります。ただ、仕事以外での契約面では設立して数年の法人だと信頼性が高いワケでは無いので、個人で家の契約をする様な場合に、法人の代表だからといって審査面ではあまり有利には働かないと思います。
1人で運営する法人の場合は自己資金で運営する事が多いと思いますが、事業の拡大などを検討した場合に融資を受けやすいというのも法人のメリットです。さらに、法人は有限責任なので融資されたお金を返済できない状態になっても、個人を融資の担保にしていない限りは個人資産は守られるのも良い所です。
まとめると、今後はインボイス制度によって消費税の免税というメリットは薄まりますが、継続して一定以上の収益を得られる様な事業の場合には節税効果が高く、メリットを感じやすいという形になります。
法人のデメリット
・決算や経理が大変
・税理士や司法書士の費用がかかる(必要な場合)
・赤字でも住民税の均等割りが発生する
・設立・解散時に手間がかかる
・設立・解散時に費用がかかる
・その他変更事項の際にも手間と費用がかかる
・会計ソフトなどの費用が高い(法人価格)
・登記用の住所の確保が必要
・資本金が必要
・役員報酬は基本的に1年に1回しか変更できない
法人のデメリットは色々ありますが、とにかく事業の運営に手間とコストが大量にかかるという事です。
まず、法人の設立時に数十万円の費用がかかるのと、提出する書類が数十枚必要です。書類に関しては司法書士に依頼すれば自分の手間は減りますが、その分だけ費用が増えます。これは解散時やその他の情報の変更時(代表の引っ越しなど含む)にも同様に数万円の費用と多くの書類提出が必要になってきます。
色々と調べれば情報自体は出てくるので、自分で書類を用意する事は可能ですが、かなりの手間と時間がかかるのは間違いないです。費用についてはそれなりに高額ではあるのですが、大抵の費用は定額です。
なので、法人の売上げが上がるほどこの辺の定額費用というのは気にならなくなる部分ではあります(基本的に税理士の費用は売上げ高によって段階的に変わりますがそれでも一定の定額ラインがあります)。
ホントに赤字でも1年間に必要な出費
・法人住民税の均等割り:70,000円
・会計ソフト使用料金:24,000円
・決算申告ソフト使用料金:25,000円(使用しなくても可)
・事務所の家賃と契約費:30,000~100,000円
・給与と社会保険料
逆に言えば、法人というのはどうしてもかかる固定費というのが非常に多くて、この辺りの手続き関係の費用は削ることができませんし、赤字でも法人住民税の均等割り(年間7万円)は必要になってきます。
また、細かい部分ですが、会計ソフトは法人用の価格が高いのに加えて自身の確定申告用に個人用も契約するので二重に費用がかかったりします。会社に必要なモノは経費にできますが細かい出費も多いです。
つまり、この辺りの固定費に関して支払いが厳しかったり、気になる様なキャッシュ状態の場合には、そもそも法人の節税等のメリットを生かせる状況にはないというのが基本的な考え方になるとは思います。
もちろん、司法書士や税理士に依頼する費用を抑えるために事務や経理を1人でこなしつつ仕事をする事も可能ですが、本業にかけられる時間が減り、結果的にはコスパの悪い運営になる可能性が高いですね。
ちなみに、自分だけで決算申請をする時の方法や必要な書類などについては下記記事で紹介しています。
関連記事「合同会社のひとり社長が自分で決算と法人税等の申告書を制作する方法【税理士なし】」
会社を回すという意味では資本金をそれなりに確保する必要があるのは地味に大切な部分になります。
会社の資本金は1円でも法律上は問題ないですが、それを鵜呑みにして設立してしまうと様々な問題が生じます。資本金というのは法人の信頼性を担保する1つの大きな要素で、それが1円というのは法人を作る上でのメリットの1つである「信頼性が高い」という部分を潰すのに近い行為と思った方がいいです。
銀行の法人口座が作れなかったり、業務提携ができなかったり、色々な面で不利に働く事があり得ます。
また、設立当初は特にキャッシュフローが重要になりますが、初月に売上げが振り込まれない場合でも給与と社会保険料は発生するため、資本金が1円では支払いができず、実質的には倒産の状態になります。
個人からの借入れという形で資金を会社に投入すれば何とかキャッシュフローが生まれて会社を保つことは可能ですが、それなら最初から資本金として会社に資金を入れておいた方が良いので意味がないです。
お金の自由度という意味でもデメリットがあり、基本的に売り上げは全て法人のお金なので自由に使う事はできません。当たり前ですが個人的なものを買うには役員報酬として自分に給料を支払ってその中から買う必要がありますが、役員報酬の金額は基本的に年に1回だけ特定の期間内でしか変更が効きません。
役員報酬自体は経費となるので節税になりますが個人の所得になるので源泉徴収(所得税)が生じます。
また、役員報酬の金額によって社会保険料も変わってくるため、この辺りの金額をどう設定するかというのは税理士などと相談するのが最も手っ取り早い方法だと思います。自分で決めると結構苦労しますね。
・役員報酬が高すぎ:所得税と社会保険料が高くなる・業績不振時に困る
・役員報酬が低すぎ:給与支払いの節税効果が薄くなる・会社からお金を出せない
役員報酬を高く設定しすぎた場合、所得税も社会保険料も高くなって節税効果が得られにくかったり、業績が下がってキャッシュフローに困るケースがありますし、役員報酬を低く設定し過ぎた場合、給与支払いによる節税効果が得られなかったり、会社からお金を取り出す手段・機会が減ってしまったりします。
会社にお金が残るのは悪い事ではないですが、会社から如何にお金を取り出すかという部分も結構大事だったりするので(節税しても自由に使えないと意味がないので)、その辺りも考慮する必要があります。
1人の場合|フリーランスと法人どちらがいい?
結論から言うとフリーランスの方がおすすめ
・ストレスが少ない分モチベーションが保ちやすい
・インボイスで法人化のメリットが薄れる
・給与以外での経費処理であまり違いが無い
・法人は気軽にやめる事もしにくい
個人的な意見ではありますが、結論から言うと1人運営の場合にはフリーランスの方がいいと思います。
もちろん売上げが数千万超える様なレベルになってくれば、法人化して専門家をつけて管理を任せる様なスタイルが合っていますが、迷うレベルであればフリーランスの方がデメリットが少ないと思います。
法人を運営する場合には、たとえ一部を専門家に委託する様な場合でも本質的な仕事以外の部分で考える事が多く、それに伴ったコミュニケーションコスト等も増加するので、ストレスが溜まりやすいです。
1人で働くという事は自分自身のモチベーションをいかに保つかというのが大きな課題でもあるワケですから、事務・経理・会社運営という本業以外で作業時間やメンタル負荷を強めるのは悪手だと感じます。
2021年の10月辺り以降からは、2023年10月から開始される「インボイス制度」によって免税期間の延長(2年延長)の恩恵が少なくなってくので、その点からも法人化するメリットは薄くなってきます。
法人と個人で認められる経費に違いがあると言う方もいますが、実際にはほとんど変わりはないと思います。もちろん役員報酬を経費に算入できるのは法人の大きな強みですが、その他の点では結局は事業に使用しているかどうか・どの位の割合で事業用途なのかという点でしか経費認定には関わってきません。
この辺りの事情を踏まえて「1人の場合」と「どちらが良いか迷う売上げ」という条件を加えると、フリーランスとして活動する方が総合的にメリットが大きくて、幸福度が高いんじゃないかと感じています。
ちなみに、税理士に相談すると99%の人は「法人化した方がいい」と答えると思います。税制的な面で推奨されますがあくまで税制面の話だけで、しかも税理士は法人相手の方が報酬が高いので法人化した方が自分の利益にも繋がる為(報酬を含めても節税になると説得されると思いますが)おすすめされます。
ただ、法人は解散も手間とお金がかかるので、簡単にやめる事もできないのは頭に入れておくべきです。
全て自分でやっても4~8万円必要で、解散・解散の確定申告・清算結了の確定申告と大きく3段階の手続きもしないといけなく、その点でも労力が必要です。専門家に委任すると30~50万円程度かかります。
特に費用もかからず簡単な手続きで休眠会社にすることもできます(法人住民税の均等割りも無料になる自治体が多い)が、事務所を契約している場合はその費用は発生し続けますし、営業しないのなら別の県にある実家に会社の住所を移転しようと思うと登記の変更手続きと印紙の代金が6万円ほどかかります。
法人をやめようと思うのは運営をしていく資金が無くなったり、コストに見合わないと思った時だと思いますが、この様に終わり際にも追い打ちをかける様な仕組みになっているので理解をしておきましょう。
おまけ:具体的にあったフリーランス・法人の困った事
それぞれのデメリットの中でもちょこちょこお話しましたが、具体的に困ったことをお伝えします。
ちなみに「フリーランス・法人」で良かった!って事はほぼ体感としては無いですね。組織に所属しないならどちらか選ぶしか無いのでメリットを体感というよりはデメリットが少ない方を選ぶのが良いです。
フリーランスの場合は事業の所得と経費と自分の生活費か分かりにくくなりがちです。なのでフリーランスを始めた頃どの程度利益が出ていて、税金はどの位という感覚がつかめずに支払い時に税金が高くて驚いた経験はあります。続けると肌感覚で分かるので税金分を別で残しておいたりもできる様になります。
法人の場合には色々とあるんですが、例えば自宅を引っ越しした時に代表の自宅情報が更新されるので、その為の変更手続きの用紙を作って印紙代金が1万円かかるのでその辺も地味に面倒だし高かったです。
細かい部分で言うと法人用クレジットカードをしばらく作っていなかったので、個人で立て替えてそれを清算してみたいなお金の管理周りの部分が結構面倒でした。法人用クレカは早めに作った方がいいです。
手続き周りで言うと、決算書類や支援金申請辺りの書類作成が個人的には苦労したポイントですね。
税理士と顧問契約をして全て任せてしまえば楽だと思いますが、私の場合には色々と勉強だと思ったので税務・経理周りも自分でやっていて非常に消耗しました。決算書類は「決算書」自体は比較的簡単に会計ソフトで作れるのですが、「申告書」が何が必要で何をどこに書けばいいか情報が少なくて苦労します。
今ではFreeeの決算申告書作成サービスがあるので、会計ソフトとは別で契約すれば税理士に頼むよりも割安で申請書まで自分で作れる様になりましたが、自力で全て作ろうとなるとかなりしんどい作業です。
また、支援金の申請では決算関係の書類を提出する場面があり、決算では問題なかったのですが一部記載がなかった箇所があって、それを修正するのに税理士の署名が必要みたいな場面になった事があります。
決算申告だけ何とかスポットでお願いできる税理士なら少ないながらもいますが、支援金の書類申請の修正確認だけお願いできる様な税理士はなかなか見つからなくて結構困りましたが何とか処理できました。
ちなみに、フリーランスでも法人でも書類や税金の処理で電子申請・電子認証ができると便利なので、マイナンバーカードとカードリーダー(安いモノで全然OK)は早めに用意しておくのをおすすめします。
他にも自分で書類を作ってるので細かな計算ミスがあって税務署に修正に行ったり(基本的に税務署の人優しい)、誰かに委任しない会社の運営ではそういう地味な部分で結構困った事が生じやすくなります。
これが税理士・司法書士に丸投げするとこの辺の地味な苦労は減ると思いますが、報酬や税務処理・書類作成でもめたりといった、コミュニケーションに起因した別の苦労とリスクが増えるものだと思います。
まとめ:経験者が語るフリーランスと法人の違いとメリット・デメリット
今回はフリーランスと法人のメリット・デメリット比較について経験談を中心にお話してきました。
融資などの資本を投入して運営する様な法人の話は経営者コミュニティーが結構活発で、そういうグループに参加すれば話を聞く機会がありますが、1人で運営する様な法人のリアルな話ってあまり無いです。
条件をつけて個人的なおすすめは「フリーランス」ですが、法人を作ることによって知れたり勉強になる事もたくさんあったので、資金と手間に余裕のある方は1回チャレンジしてみるのもアリだと思います。
参考サイト「クラウド会計ソフト freee会計」
関連記事「1人で合同会社を設立・起業した時の全体的な流れと気をつけたいポイント」