クリエイター視点で見るSUZURI(スズリ)でグッズを作るメリット・デメリットと利益について解説

SUZURIはクリエイターのグッズを手軽に購入できるサービスですが、クリエイター側にとっても手軽に自分のグッズを作れる便利なサービスになっています。とはいえパっと見ではよく分からないですよね。

私自身もモノジャーナル・個人名義でグッズ展開はしていないものの、以前イベントなどで使った事があるので、SUZURIのメリット・デメリット的な部分や利益率等についてある程度知っているつもりです。

今回はその辺りクリエイターサイドからの「SUZURI」を使った時のお話を詳しくお伝えしていきます。

SUZURI(スズリ)って何ができるの?

・Tシャツ(9種類)

・パーカー(3種類)

・スウェット(2種類)

・ジャケット

・キャップ & ハット

・サンダル

・スマホケース(4種類)

・バッグ(6種類)

・日用品(マグカップ・タンブラー・グラス・ハンカチ・ブランケット・バンダナ・マスク)

・雑貨 & 文房具(ケース・ステッカー・缶バッジ・ノート・ポスター・クリアファイル)

SUZURIの概要についてですが、GMOペパボが運営するクリエイターズマーケットのサービスです。

Tシャツ・ステッカー・マグカップなど様々な商品がありますが、規格は全てSUZURI側で統一になっててサイズを選ぶ形になっているので、クリエイター毎で違うのは見た目のグラフィック部分になります。

比較的ファッション系のアイテムが多いですが、日常でも使いやすい雑貨系だったり、グラフィックを生かしやすい商品がメインになっています。グッズとして欲しいアイテムはひと通り揃っているはずです。

①登録 ▸ ②グッズを選んでグラフィックをアップ ▸ ③販売

クリエイター側はSUZURIに登録する事で自分のお店を作る事ができ、自分が作りたいアイテムを選ぶとグラフィックを調整してアップロードするだけで簡単にグッズが作れてそのまま販売できる感じですね。

お客さん側は普通のオンラインショップと同じで色んな人のページからお気に入りの商品を見つけて買うだけで、クリエイター側とのコミュニケーションは基本的にありません。人気だと勝手に売れてきます。

それで、後は売れた金額からSUZURI側の取り分・手数料などが引かれて残りが振り込まれて終了です。

SUZURIに限らずグッズという商売の展開については、デザイナーというよりはイラストレーター・クリエイターとして活動されていて自分のイラストや作品にオリジナルな”色”がある人に向いていますね。

SUZURIを使うメリット

・在庫を抱える必要が無く赤字にならない(リスクが無い)

・グラフィックを用意するだけで簡単にグッズが作成できる

・グッズのモックアップを勝手に用意してくれる

・品質の心配をする必要が無い(デメリットもあり)

メリットは色々あるのですが、手軽にグッズを作れるという部分がやはりSUZURIというサービスの最も大きな特徴になっています。普通に自分でグッズを作る場合のリスクだったり手間がほぼありませんね。

制作の段階においては、グラフィックをアップするだけでグッズの作成ができて、Tシャツならモデルさんが着ているモックアップも勝手に作ってくれますし、とにかく何の苦労もなくてグッズが完成します。

そういう風に気軽にグッズを作って自分のお店に並べておいても、完全に受注生産なので在庫を抱えるという心配がありません。なので、グッズ展開を赤字リスクなしに行えるのが大きなメリットになります。

また、実際にグッズが注文された場合にも自分で品質などのオーダーを設定する必要が無いので、特にグッズ制作周りの知識が無くてもSUZURIの設定した一定の品質で作れてしまうというのもメリットの1つです。ただ、後ほどもお伝えしますが、品質が一定であるという事はある意味デメリットでもあります。

SUZURIを使うデメリット

・クリエイターの利益が少ない場合が多い

・商品の発送までに時間がかかる

・商品の品質を調整する事ができない

・コミュニケーションが取れなくてモチベが上がりにくい

デメリットについてはノーリスクである事に対してのリターンの低さという部分に集約されていますね。

まず「利益」についてですが、クリエイター側の利益率というのはかなり低い事が多いです。SUZURIの価格設定はクリエイターが個別に設定できますが、元々各グッズに「最低価格」が決められています。

この最低価格は原価やSUZURIの利益を保証するための金額設定なのですがコレがわりと高いです。なので、最低価格に上乗せした分だけがクリエイターの利益になるのですが、あまり上乗せはできません。

グッズには相場というのがあるので、そこから大幅に外れるといくらグラフィックが良くてもグッズはなかなか売れないので、その辺りの相場を意識しつつ価格設定をしているという人が大半だと思います。

・Tシャツ:2,288円(税込)+利益分

・スマホケース:2,200円(税込)+利益分

ちなみに上乗せ可能な金額の幅も決められていて「0円(原価)~5,000円」までで制限されています。

グッズの種類にもよりますが、大抵の場合は1つのグッズを売ってクリエイター側は100円~1,000円程度の利益というケースが多いと思います。ただ、販売自体がノーリスクではあるので悪くは無いです。

あと、メリットでもお話した「商品の品質について一定」なのはいい所でもあるんですが、それ以上の品質が求められないのはデメリットになります。インクの質感やグッズ自体のサイズ感・生地などです。

クリエイターさんって基本的にこだわりは強い方だと思うので、その辺りの細かなこだわりが再現できないのであればグッズ化したくないという方も多くいるかと思います。手軽さとのトレードオフですね。

他にも完全に受注生産なので、注文してから届くまでに結構時間がかかります。大体注文から1週間位で発送されるので、すぐ欲しいって人に対してのアプローチとしてはあまり有効ではないかもしれません。

あと1点重要な所で、お客さんの声が届きにくいのでクリエイター側のモチベがあまり上がらないというのはデメリットとしてあると思います。普段クライアントワークをしてると、喜んでくれる感想とかがデザインだったり制作のモチベにつながる事って多いので、それが無いのは少し寂しい部分がありますね。

とはいえ、沢山買ってもらえたら人気があるんだなって分かるのでモチベが上がるし、SNS等で感想を聞けたりもするので致命的なデメリットではないですが、普段の制作とはちょっと違った感じになります。

SUZURIの総合的な評価・デザイナーの個人的な考察

クリエイターにとっては作り得だけど…

利益は出にくいとはいえ、お金がかからずにグッズを展開できるのでクリエイターにとっては作り得ではあると思います。需要の把握的な面でも色んなグラフィックや価格設定でお試しする使い方も可能です。

さらに、SUZURIというプラットフォーム自体がグッズを販売しているサイトとして認知されていて、いい感じのグッズを探しているお客さんが大量にサイトを閲覧しているので伸びる確率はわりと高めです。

普通に個人でECサイトを作ったりするよりもアクセスは見込めますし、まず人に見てもらうという点での難易度がグッと低くなるのはSUZURIを使うという点で大きく評価したいポイントだと感じています。

他のグッズ販売の手段も忘れずに

とはいえ「やはりこだわったグッズを作りたい」「価格は抑えつつ利益を伸ばしたい」と思う方は結構多いと思います。そういう時に他にも色々な販売用サイトがある事は頭の中に持っておきたい選択肢です。

もちろん在庫を抱える選択肢になるんですが「BASE」「STORES」「Amazon」などのプラットフォームでグッズを販売する事も可能です。その場合には特に制限はないので自由にこだわる事が可能です。

ただ、SUZURIで人気が出ない場合に別のサイトで展開したから人気が出るかというとより難易度が高いと思うので、先ほども言った様に何よりもSUZURIで需要の調査をするのが個人的にはおすすめですね。

そこで人気が出た商品を例えば少し安く「BASE」で出品する(原価を安くして利益は増やす形で)等すればお客さんも自分もWIN・WINだし、そのステップの最初として使いやすい便利サイトと思います。

Amazonも普通に出品できますが、基本料金がかかったり小売りにはあまり向かないので、そういう時は「BASE」「STORES」辺りの個人向けの販売系ECサイトプラットフォームが使いやすくて便利です。

まとめ:クリエイターがSUZURIでグッズを作るメリット・デメリット

今回はクリエイター視点で見るSUZURI(スズリ)のメリット・デメリットについてお話してきました。

実際の所ノーリスクでグッズ制作にチャレンジできるし、何なら普段別にクリエイティブ関連の仕事をしていない方でも趣味として気軽に出品できるので、個人的にはサービスとしての評価はとても高いです。

とはいえ、ビジネスの1つとして展開するのであれば、利益率はあまり良くはないので、需要や価格設定の感触を確かめる様な使い方を頭に置きつつ他サイトへの展開も検討すると良いのかなと思っています。

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