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パッと見だと難しく思われがちですが、会社を作るのは手順自体は意外と簡単です。
ただ、細かい部分で気をつけるポイントがあったり、知らないと待ち時間が生じてしまう部分もあるので知識はあらかじめ身につけておいた方がいいです。特に設立を急いでいる人は気を付けた方がいいです。
私自身は2年位前に「合同会社」を作ったのですが、今思うと色々改善できたなって部分もあるので、今回の記事では会社を1人で作る際の全体的な流れと経験から得たポイントを解説していこうと思います。
Contents
法人の種類と法人化のメリット・デメリット
私が作ったのは「合同会社」で、一般的な認知度が低かったり、資金集め的な面で苦労することがあったりしますが、ランニングコストや手間などの部分が「株式会社」よりも少なくて済むのが良い点ですね。
あまり知られてないけど「アマゾンジャパン」や「グーグル」なども合同会社です。
上場を目指していたりガンガン融資してもらって会社を育てるとかそういう場合は合同会社は向いていないですが、非常にシンプルに1人で会社を回す様なスタイルだと合同会社の方が向いていると思います。
・法人化のメリット:税制的な部分で有利な点がある・法人としてお仕事ができる
・法人化のデメリット:儲からなくても税金等のコストが必要・申告する書類等を含めて手間が多い
デメリットとして、1人で全部やろうと思うと事務関係の管理コストがかかるので注意が必要です。
管理コストを避けたいのであれば契約して税理士含む専門家に書類を投げればいいんですが、その分だけお金のコストがかかってきます。どこまで自分でやるのかというのはあらかじめ決めておくといいです。
私の場合は、決算の時だけ税理士さんにお願いしたり、自分で全部やってみたりして色々な管理コスト・お金のコストなどを比較してみたりしたんですが、意外と自分だけでもなんとかできると思いました。
関連記事「合同会社のひとり社長が自分で決算と法人税等の申告書を制作する方法【税理士なし】」
合同会社を作った時の実際の流れ
会社作る時にめちゃくちゃ便利だったのが「freee」というサービスです。
色んな種類があって「会計freee」はお金がかかるんですが「会社設立freee」は無料で使えます。フォームの流れに沿っていれば問題なく会社を作る所までいけますし、実際に私自身この流れで作りました。
関連サイト「会社設立freee」
1. 会社名を決める
2. 住所を決める(事務所を用意)
3. 資本金額を決める(銀行に用意)
4. 事業内容を決める
5. 公告の方法を決める(官報 or 電子)
6. 印鑑を用意する
7. 定款を作る
8. その他登記用の申請書類を用意する
9. 法務局に提出する
大枠の流れとしてはこんな感じで、非常に手際よく進めれば「2~3日」で完了する事もできますが、準備をコツコツやっていると、1つ1つ難しくはないですが少なくとも1週間以上時間はかかると思います。
1. 会社名を決める3つのポイント
まず会社名を決めるステップにおいて、当たり前の様で重要な点が下記になります。
- 他の企業やサービスと被っていない事
- 英語名が想像しやすい+記載しやすい事
- 他人から呼ばれて違和感のない事
他の企業・サービスと被っていると、検索・SNSなどで混同されたり、様々な場面で面倒な事になるので「めちゃくちゃいい会社名」を思いついても、まず検索してみて同名の会社などを確認してみましょう。
たとえ商標登録されていなくても地方のペンキ屋さん・お花屋さんとか意外と名前が被ったりします。
また、英語名がすぐに想像できる方が良いですし、銀行とかでも呼ばれる事になるので、口に出してみて違和感ない会社名にする方がいいと思います。しっくりくる名前を考えるのは意外と時間がかかります。
2. 登記可能な住所を用意する
いわゆる会社の事務所が必要ですが、もし自宅が登記可能なら自宅でもいいと思います。
ただ、賃貸の場合は登記不可の場合が多いですし、もし登記可能だとしても引っ越しするたびに本社を変更しなければいけないので、もし自宅で仕事をするにしても、登記可能な事務所を借りる事になります。
ちなみに実家とかにすると郵送されてくる書類の転送などの取り扱いが面倒なのでおすすめしません。
登記用の住所だけ貸してくれて、書類も転送してくれるような「バーチャルオフィス」や共同で使う様な「シェアオフィス」の様なモノもあるので、東京都内でも意外と安く契約する事も可能になっています。
初期契約料金(30,000円)+月額使用料(3,000円)+月額転送料金(1,000円)
バーチャルオフィスだとこの辺りの相場になります。多分場所によってもっと安い所もあると思います。
ただし、バーチャルオフィスだと銀行審査や融資審査に影響する場合もあるので慎重に契約しましょう。
3. 資本金は会社の信頼度
資本金に関しては昔は下限が決められていましたが、今では1円でも平気になっています。
ただし、資本金は会社の底力・信頼度みたいなモノを表しているので、低額だとせっかく法人を立ち上げたのに信頼性を下げる様な事になって、債務超過にもなりやすいため、それなりの金額にするべきです。
ちなみに、業種によっては現在でも資本金の下限が設定されているケースがあるので注意しましょう。
4. 事業内容は浅すぎず深すぎずに
事業内容は自分の会社が何をする会社なのかという事を示すためのモノです。
定款という会社の決まりに記載することで、書いてある事業はしていいし、書いてない業務はしてはいけません。事業内容に個数制限はないので理論的には全ての業務を自社の事業内容に書くことも可能です。
ただし、その会社を客観的に見て全部書かれていたら何をする会社なのか分からなくて怪しいですよね?
銀行の口座開設の審査などでも事業内容が分からないと口座開設できなかったり、色々不具合がでてきたりするので、メイン業種に付随して手を出すことがありそうな業務を決めて記載するのがおすすめです。
5. 公告種別は電子公告(WEB)でOK
特に何かこだわりが無ければ会社の事を載せるための「公告」は電子公告(WEB)で問題ありません。
お金がかかる官報よりも電子公告の方が良いと思います。ただし、簡易でいいので自分でドメインを取得してサイトが作れないと出費が増えて大変かもしれません。ただ、どのみち会社のサイトは作ると思いますので、官報にお金を払うならサイト制作のために経費を使う方が有意義なお金の使い方だと思います。
自分で簡単に自社サイトを作る方法は下記記事で解説しているので、そちらを参考にしてみてください。
関連記事「レンタルサーバーと独自ドメインで会社や個人のホームページ・ブログを作る方法」
6. 印鑑はとにかく早めに準備
会社を作るのにも未だに印鑑が必要になります。面倒な仕組みですよね。
印鑑作りは会社の名前を決めてから制作を依頼しないといけないのでそれなりに時間が必要になります。「角印・実印・銀行印」の3点セットで大体売られているので、セットで購入するのがおすすめですね。
せっかくの事なので印鑑自体にこだわっても良いと思いますが、その場合時間もお金も結構かかります。
7. 8. 定款と申請用の書類を作る
少し面倒な作業ですが「会社設立freee」にあるフォーマットに従って作成すれば問題なく作れます。
定款に関しては制作しても認証されてないと効力を持たないので手続きが必要です。定款は「紙・電子」2種類を選ぶことができて、紙だと収入印紙が4万円分必要になるので電子で制作するのが標準です。
ただし、電子定款を作る場合「ソフト・電子証明・ICカードリーダー」などが必要になるので、自分で揃えようと思うとわりと費用と手間がかかります。なので、ここだけ「freee」に課金して解決しました。
ちなみに私が利用した時は電子定款の制作と認証は5,000円でしたが「会計freee」を契約すると無料になるキャンペーンをしてたので実質無料でした。つまり会社の会計は「会計freee」を使っています。
関連サイト「会社設立freee」
9. 法務局に書類を提出する
書類が制作できたら必要な書類を印刷して法務局に提出するだけです。事務所の確保・印鑑の制作・電子定款の制作辺りに結構時間がかかるので、そこさえ簡単に済ませられればだいぶ時間が短縮できますね。
会社の登録の際には登録免許税(株式会社:15万円、合同会社:6万円)がかかるので、法務局の印紙売り場で印紙を買える様にしっかりと現金を持って行くようにしましょう。コレで会社の設立が完了です。
資本金を除くと合同会社だと全部で15万円位あれば作れます。ちなみに会社を設立する際にかかった全額に関しては「設立準備金」として全て経費として申請出来ますので領収書は必ずとっておきましょう。
会社を作った後にする事
▸各種届出を提出する(起業後1, 2ヶ月以内)
会社を作った後には税金・給与・社会保険関係の手続きをしておく必要があります。ちなみに何を提出すればいいかに関しても「会社設立freee」で教えてくれます。細かい部分については別途調べましょう。
- 税務署に届け出(税金関係)
- 地方自治体に届け出(地方税)
- 年金事務所に届け出(社会保険)
届け出の際には起業後に手に入る書類が必要なので、法務局の方で設立の手続きが完了してから届け出をするようにしましょう。期限が起業後1ヶ月・2ヶ月と意外と早いのでなるべく早めに済ませましょう。
▸源泉徴収や社会保険料などを考慮して役員報酬を決める
あと、会社設立と同時に決めなければいけないのは「役員報酬」の金額です。
役員報酬は1人の会社であれば自分に支払う給与の金額になりますが、1年間は基本的に変えられないので慎重に決める様にしましょう。この役員報酬額によって社会保険料と源泉徴収額も決まってきます。
源泉徴収はいわゆる所得税みたいなモノです。社会保険料を引いた給与が88,000円以上で生じます。
例えば、役員報酬を「88,000円」に設定すると社会保険料が最低額の約25,000円で、会社と折半して支払うと個人の負担は12,500円、つまり手取りは75,500円となり源泉徴収は生じない事になります。
この辺りは色々と考えて設定しないといけないですね。社会保険料も会社が半分払うとはいえ、自分の会社であれば自分の稼いだ金額から支払う事とあまり変わらないので、なるべく金額は少なくしたいです。
▸銀行の口座も早めに申請する
デジタルで色々なやり取りをするのにも、最終的に銀行の口座はどうしても必要になります。
法人口座が出来るまでは個人口座を使う事になりますが、清算が面倒なので出来るだけ早く法人口座にまとめておきたいですし、法人口座がある事はそれなりに取引相手に対して信用度が増す事でもあります。
友人の話を聞くと、2,3個の銀行の審査を落ちたという話も聞くので審査に落ちても気にしないで大丈夫だと思います。当然ですが大手の銀行の方が法人口座の開設に関して審査は厳しい傾向にあるようです。
ちなみに弊社は運が良かったのか初回の銀行で口座を作らせてもらえました。会社の最も近くの支店で作る必要があるので、微妙な距離に2つ支店がある場合たらい回しになる事があるので気を付けましょう。
法人口座のネットバンク系統は非常にUIが良くない場合が多いです。セキュリティーの関係もあるんだと思うんですけど「IE」を基準に実装していて、挙動ももっさりしていて説明読んでも分かりにくいです。
ただ、電話サポートがめちゃくちゃ充実していて対応が素晴らしいので、困ったら電話がおすすめです。
まとめ:会社を設立した時の全体的な流れと気をつけたいポイント
今回ご紹介した流れで一旦「会社を設立する」という辺りの作業は終わりになります。
この後は追加で提出が必要な書類が随時届いたり、業務を進めていきながら手探りで対処していく様な形になります。赤字でも法人住民税は支払わなければいけなかったり、個人とは違った大変さがあります。
ただ、合同会社というシンプルな仕組みで、自分1人でやっているからこそ経済・経営の色んな事が分かりますし、会社を設立する機会は少ないので全部自分1人でやってみるのもいい経験になると思います。
関連記事「合同会社のひとり社長が自分で決算と法人税等の申告書を制作する方法【税理士なし】」