法人がフリーランス外注用の源泉徴収を支払う為の電子申告「e-Tax」の登録の仕方と活用方法を解説

法人同士のやり取りであれば「源泉徴収」というのは発生しませんが、特定業種のフリーランスさんとお仕事のやり取りをする場合には「源泉徴収」関係のやり取りが発生する場合というのが存在してきます。

基本的に社長を含む役員・社員の役員報酬や給与を払う際にも源泉徴収をする事になりますが、その場合には「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しておけば年に2回まとめて支払えます。

しかし、フリーランス支払い分の源泉徴収は例外なので、翌月10日までに支払わなければなりません。

半年に1回であれば書類で対応もできますが、毎月対応したり急に対応することになった場合には書類でやり取りするのは面倒なのでインターネット上で税務関係を処理できる「e-Tax」を使うのが便利です。

そこで今回は「e-Tax」の登録や活用について、つまづく部分も含めて色々解説していこうと思います。

著者 荒木大地  / グラフィックデザイナー / ▸Twitter (@d_arakii)

博士号を取得後、東京大学にて特任助教として研究と教育に従事。在学時よりデザインの業務を開始しデザイン事務所を設立。Adobe Creative Residency (2021)

そもそも源泉徴収って何?

そもそも「源泉徴収」とは何なのか?という事なんですが、源泉徴収とは支払う報酬分の「所得税」を差し引いて依頼者側が国に納税するというシステムです。差し引かれた額は所得税という事になりますね。

つまり、企業が社員に給与を払う際に源泉徴収するので、社員は年末に確定申告をして所得税を支払う必要が無いという事ですね。国としても税金を定期的に取り逃しなく得られるシステムで効率がいいです。

フリーランスの方で源泉徴収の対象になっている事業の方は、しっかりと確定申告の中で源泉徴収額について申告をしないと余計に所得税を支払う事になってしまうので、その辺りは注意する様にしましょう。

源泉徴収ってどんな場合に徴収する必要があるの?

・企業が給与を支払う場合:企業が源泉徴収する

・企業が特定業種のフリーランスに外注した場合:企業が源泉徴収する

基本的には上記の様なケースで企業が徴収義務があるのが源泉徴収ですが、フリーランスの方でも給与を支払っている場合には、他のフリーランスの方に外注した場合に徴収義務が生じるので注意しましょう。

ココで言う所の特定業種というのは、弁護士・税理士などのいわゆる士業系と講演家・ライター・デザイナー系の職種です。他にも芸能人の出演料やスポーツ選手の報酬金、広告の為の賞金なども含まれます。

デザイン料は源泉徴収の対象になるため、フリーランスのデザイナーは企業から敬遠されがちな面があって、クラウドソーシングを通したり企業同士だと源泉徴収が必要ないためそちらが優先されがちですね。

他にもオウンドメディアなどでライターさんに業務委託的な形でお願いしたりした場合にも源泉徴収が必要となって、翌月10日までの比較的素早い対応が求められる事態になるので少し面倒な所があります。

法人の源泉徴収の申告・支払いにはe-Taxが便利

e-Taxでは何ができるの?

e-Taxは源泉徴収を含む納税関係の処理がWEB上でできる便利なシステムになっています。

ただ「e-Tax」を使う為にはあらかじめ利用者識別番号と電子証明書が必要になるんですが、ココが面倒っぽいと思われてやめてしまう人が非常に多いです。でも実は意外と簡単なのでチャレンジしましょう。

ちなみにe-Taxに関連した「法人設立ワンストップサービス」というものもあって、法人設立の際に必要な書類などをネット上で申告できるので非常に便利です。新しくe-Taxを使う人はコチラも活用します。

法人がe-Taxを使う前に必要なモノは2つ!

・代表者のマイナンバーカード

・ICチップ読み込み用カードリーダー

この2つが申請と利用の際に必要なので用意しておいてください。ちなみにカードリーダーは1,500円程度で購入できるので適当にAmazonなどで入手するのがおすすめです。弊社ではコチラを使っています。

カードリーダーには付属のCDが付いていますが、特に読み込まなくてもUSBに接続すれば勝手にドライバを読み込んでくれるので特にセットアップ等必要ないです。安いですが、全然問題なく使えています。

e-Taxは特に「電子証明書」を用意するのが面倒だと思われがちですが、代表者のマイナンバーカードをカードリーダーに差し込めばそれでOKなので結構簡単にその辺りのハードルはクリアできちゃいます。

法人がe-Taxを使うまでの手順① – 利用者識別番号の取得

手順を説明する前に1つ説明しておきたいです。e-Tax自体は便利な所がありますが、関連するWEBサイトとシステム自体は控えめに言って最低の完成度です。UIもUXも最悪なので、それは覚悟して下さい。

まずは、法人設立ワンストップサービスの「申請可能な手続き一覧」をクリックして「電子申告・納税等開始(変更等)届出(税理士代理提出・法人開始用)」を選択して、利用者識別番号の申請を行います。

e-Taxのサイトの方でも利用者識別番号の申請はできますが、e-Taxのサイトは本当に魔境なので極力触らない方がいいです。法人設立ワンストップサービスのサイトはしっかりと作られてるので大丈夫です。

ココで電子認証が必要になるので先ほどのマイナンバーとICリーダーをPCの方に繋いでおきましょう。

申請が完了すると少し時間をおいて(私の場合は当日)利用者識別番号取得のお知らせがメールで届きますので、サイトの「申請状況の確認」で利用者識別番号と仮暗証番号を確認してメモしておきましょう。

法人がe-Taxを使うまでの手順② – e-Taxへのログインと設定など

ここからが非常にサイト上での導線等が悪くて分かりにくいんですが、もう少しなので頑張りましょう。

まず、e-Taxサイトで右上にある「ログイン」をクリックするとログイン画面ではなく「メッセージボックスの確認」というページに飛ばされます。スクロールすると分かりにくいですが2つ項目があります。

2つのうち「受付システムのログイン画面へ」という方をクリックしましょう。環境設定として色々DLなり拡張機能なりを追加させられますが、全て言われるがまま追加して下さい。これは仕方ないですね…。

環境設定が完了したら、利用者識別番号と仮暗証番号を使ってログインしましょう。ログインしたら下記の3項目を変更したり新規追加したりしてください。絶対に必要になるので設定するのがおすすめです。

・暗証番号

・納税用確認番号

・秘密の質問と答え

特に納税番号は後で源泉徴収をWEBバンクなどで支払いをする際に必要になるので登録が必要ですし、秘密の質問と答えに関しては暗証番号が分からなくなった時に設定していないと詰む可能性があります。

これらの設定が終わったら一旦ログアウトして、先ほどのもう一つの項目である「e-Taxソフト(WEB版)のログイン画面へ」をクリックしましょう。コチラもブラウザなど環境設定がある場合があります。

利用者識別番号と先ほど変更した暗証番号でログインすると、何故かもう一度利用者情報の登録をしないといけません。真ん中の「申告・申請・納税」の項目がクリックできない場合は情報を登録しましょう。

情報が登録出来たらようやく税金関係の申告ができます。源泉徴収を申告する場合「新規作成→納付情報登録依頼」を選択して、進めて「源泉徴収」を選んで進めればOKです。最終的に支払い情報が出ます。

あとは、WEBバンクなど自分に合った方法で源泉徴収額を支払えばOKなのでコチラで終了になります。

まとめ:法人が源泉徴収を支払う為の「e-Tax」の登録の仕方と活用方法

今回は源泉徴収に関して、特例に当てはまらない外注用の対応策としてのe-Taxの活用を解説しました。

マイナンバーカードさえ手元にあれば、ICカードリーダーを注文しても1週間以内には手続き可能なので、緊急で支払わなければいけない時はe-Taxを活用する方法が最も簡単で効率よくできると思います。

ただ、e-Taxのサイトは説明も含めて分かりにくいので、今回分かりやすいように利用権限の取得から申告までの流れや注意点を記事としてまとめました。ぜひ困った際などにご活用いただければと思います。

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