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普段見かける紙、日常で使ってる紙、実はかなり色々な種類があるんです。
意識しないと紙の違いってよくわからないですよね。ポスターとして貼られている紙やチラシに使われている紙、ハガキに使われている紙。どの紙も実はしっかり用途に合ったものが選ばれています
デザインする上で紙の選択というのはとても大切なので、今回はデザインにおける「紙」の話を解説していこうと思います。
Contents
日常的に様々な場面で目にする紙たち
街中や職場などでよく目にしている紙たち。たくさんあるのですが、いくつか紹介してみます。
・上質紙
おそらく日常の様々な場面で見かける紙です。コーティングも何もされていないざらっとした紙で、コピー用紙なども上質紙に当てはまります。
様々な厚みや色があり、本当に色々な場所で見かける機会が多い紙です。値段もとても安く、文字の印刷などに適しています。
ただ、イラストはともかく写真には向かないかも…にじみやすく耐久性はあまりないです。
・コート紙
上質紙にコーティングされてある紙で、ツヤツヤとした光沢があります。雑誌やチラシなど、フルカラーで写真やイラストを多く使ったデザインに向いています。
パンフレットなんかにもよく使われてるかも。比較的安価で綺麗な印刷ができるので、多めの枚数で刷りたい時なんかに向いてます。
・アート紙
コート紙よりコーティングの層が厚めで、滑らかに仕上げられているのが特徴。つるんとした仕上がりになるので、写真の印刷などによく使用されています。一般的に「光沢紙」って呼ばれるやつです。
コストが高いので、たくさん枚数を刷るのにはあまり向いていないです。
・マット紙
完全に光沢を抑えるためのマットコーティングがされている紙で、ツヤがほぼないです。
反射しないので、文字などがはっきりと読めます。写真を印刷するのにも向いており「フォトマット紙」なんていうのも売られています。ただ、インクの量が多いとテロンテロンになったりにじんでしまうので、印刷時は紙選択を間違えないようにした方がいいです…。
他にもいろいろあるのですが、ざっくり代表的な紙はこんな感じです。
デザインする時、何をメインとしているデザインなのか・どんな雰囲気で仕上げたいのかなどでイメージに合う紙を選びましょう。紙一つで本当に雰囲気が全然違ってくるので、紙選びを間違えるとデザインが良くても「あれ?思ってたのと違う……」なんて事にもなりかねません。
そのくらい、紙の選択って大切なんです。
「特殊紙」と呼ばれるものでデザインを一段階上に仕上げる
紹介した紙以外にも様々な紙があるのですが、中でも「特殊紙」と呼ばれるものが多数存在しています。
具体的にあげると、凸凹に加工されていたりラメやパールが入っていたり、レザー調に仕上げられていたり、様々な色に着色さていたり…とにかく奥深い世界です。
見た目も手触りも面白いものがたくさんあります。ここでいくつか私が持っている紙を紹介します。
ファーストヴィンテージ
私が昔から愛してやまない紙。クラフト紙をベースにしており、ざらざらした質感と使い込んだような風合いがとてもかわいい紙です。
この紙を使うだけで一気にデザインクオリティが底上げされる気がしてるので様々な場面で使ってます。
名刺はもちろん、DMやフライヤーなどにもおすすめ。手軽におしゃれ感が出せます。
色も2021年時点で全部で12色あり、厚みのバリエーションもあるので様々な用途に使えます。写真に写ってる以外の色もあるので、ぜひ調べてみてください。
スタードリーム
コシのある、パール加工が施された紙です。これ、紙を傾けるととっても綺麗なんです…
少しお値段も高めの紙なので、名刺やカード類に使われることが多いです。名刺にこの紙を使用すると、とってもかわいい上に会話のネタにもなるはず。
白ベースの紙もあるので、招待状なんかにもおすすめ。
サガンGA
50色もバリエーションがある、少し凸凹したエンボスペーパー。
鮮やかな色からくすんだ色まで、とにかく絶妙な色が揃っているのが特徴。主に本の表紙などに使用されていることが多いです。
ざらざらとした質感が面白く、けれどそこまで癖が強くない紙なので様々な用途に使えるはず。紙袋などにしても面白いんじゃないかなと思います。
こうやって並べると、色が本当にはっきりしていて絶妙なんですよね…。ここまで黄色!青!ピンク!みたいに、ド直球の色の紙ってそこまで多くないので、使い方によって色々化けてくれるはず。
マーメイド紙
比較的売られている場所も多い気がするのがマーメイド紙。こちらもカラーバリエーションが60色と、かなり豊富です。
白いマーメイド紙は絵の具や色鉛筆等でイラストを書くのにも適しており、100均でも売られています。
でこぼこの質感が面白く、様々な用途で使われます。厚みもいろいろあるので、箱なんかに使われているのもよく見かけます。
ベタ塗りの印刷はあまり向かないけれど、この優しい風合いを活かして色々なデザインができそうです。
ミランダ
なんとびっくり、赤・青・白の3色のガラスフレークが加工された、ラメラメでキラキラな紙です。
最初見た時は割と皆びっくりするんですけど、確かに紙にラメ加工がされているのって不思議ですよね。
名刺やフライヤーなどで、シンプルなデザインでこのキラキラを活かしてデザインすると、とっても面白いものができそう。一度ポストカードを作ったことがあるのですが、とても好評でした。
特殊紙はサンプルを購入したり取り寄せたりするのがおすすめ
特殊紙は1枚1枚が結構いいお値段になってしまうんですね。厚みにもよりますが、A4で一枚100円オーバーの紙もあります。一枚で、です…。
質感を確かめるためだけに紙を全部買ったり取り寄せするのは、結構なお値段がかかります。
そんな時は、気になる印刷会社から紙の見本を取り寄せるのがおすすめ!
無料〜数百円で送ってくれます。印刷した時の色の乗り方などもしっかり確認できるものも多いです。様々な印刷会社で用意されており、調べると結構な数ヒットすると思います。
印刷会社に頼む時の参考になるので、ぜひ活用してみてください。名刺などは特に参考になるはず…
純粋に紙の種類や色を揃えたいなら竹尾のミニサンプルがおすすめ
「竹尾」という、紙を専門に取り扱っている会社があります。
この竹尾から、小さい紙の見本帳が販売されているのですが、見ているだけでデザインのアイディアが浮かんできそうなほどたくさんの紙が見られます…。
細かく分けて売られており、気になるものだけ購入も可能です。
ちなみに、50冊ほどあり全部揃えると約17,000円です。それだけ紙の種類があるってことですが、そう考えると紙って本当に奥深い世界ですよね。
参考サイト「竹尾 – TAKEO|紙ミニサンプル」
紙によってデザインの印象も変わってくる
どれだけ紙によって印象が変わるのかという話ですが、雑貨店のオープンを想定した案内はがきのデザインを制作してみたので、これを色々な色と質感の紙に印刷してみました。
1.白い紙
白い上質紙に印刷してみました。割と一般的なよく見かけるハガキですが、ここから紙を変えるとどうなるか見てみましょう。
2.クラフト紙
手軽におしゃれに見えるのがクラフト紙。インクの色が紙の色の影響で少し濃くなっていますが、これはこれでかわいいかも(見たままの色にしたいのであれば、印刷時に調整することをお勧めします)。
かわいいイメージから、急にヴィンテージ感のあるイメージに変わりました。
3.黄色い紙
はっきりした鮮やかな黄色の紙に印刷してみました。
一気に元気な印象に変わりました。「NEW OPEN」の部分もかなりはっきりして見えますね。
デザインの印象も加わって、置いてる雑貨もなんだか鮮やかそうだなぁ…って印象を受けます。かわいいプラスチックの小物とか置いてそう。
5.ベージュ
ベージュの少しざらっとした紙に印刷してみました。どうでしょう…?
可愛らしさが引き立って、柔らかい雰囲気になりました。4つの中では一番雰囲気に合ってますね。
確かにハンドメイドの雑貨とか置いてそうなお店の案内に見えます。
こうやって並べてみると、それぞれの紙で全然印象が違うことがわかります。
デザインによって紙の色や質感を変えてみる
もう1つ、同じ内容で少しアクティブな印象かつシンプルなものを制作して印刷してみました
どうでしょう…?さっきのデザインと印象が全然違いますよね。
さきほどのデザインは比較的ナチュラルなデザインでしたが、こちらはゴツゴツとしたフォントに青をメインで使用したデザインなので、また合う紙が少し変わってきますね。
黄色や真っ白な紙だと、はっきりしたデザインが引きたっている印象。
クラフト紙は、アウトドア用品やキャンプ用品などを売ってそうなお店の案内っぽいかも。
ベージュ系の紙は、合わないことはないのですが少しだけボヤッとした印象を受けます。
このように、写真やイラストの有無だけではなく、デザイン自体の雰囲気でも紙をしっかり合うものを選ぶのって実は結構大切なんです。
紙もののデザインは、それだけ紙の重要性が高いんです。紙もデザインの一部、と言っても過言ではないかもしれません…。
まとめ:紙を使用したデザインって面白いんです
今は紙媒体もどんどん衰退してしまい、WEBが主流になりつつあります。
名刺を持つ人も減った印象があります。確かに、自分自身も名刺を持ち歩く機会がだいぶ減りました。
寂しいなぁと思いつつも、やはり外で紙に凝っているパッケージや広告を目にすると、ちょっと嬉しい気持ちになります。
普通の紙箱が紙にこだわるだけで思わず小物入れにしたくなる箱に変わったり、その辺に貼られているポスターもツルツルしたコート紙からマット紙にするだけで一気におしゃれで高級感があるポスターになったりするんです。不思議ですよね。紙の持つ力ってすごい。
もし、何か紙を使ったデザインをする時は、ぜひこの記事を思い出して紙にこだわってみてください。文具店や一部の雑貨店などで売られていたりもするので、機会がぜひあれば見てみてほしいです。
文・写真・画像:ぱつこ(@ptk_08)
編集:Daichi Araki – MONO JOURNAL
関連サイト「ぱつかるちゃー」
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